大切なことはアピール、ではないんです。

 このところ不安定な天気が続いていますが、空の色や雲の形に夏の気配を日々感じる時期ですね。今朝はついに蝉の鳴く声を聞きました。そろそろ梅雨明けも近そうです。
 
さて今回のテーマはアピールと提案の違いについて。いろんな方の事業説明を聞くたびにこの2つの違いを痛感します。

起業を検討している人や起業して1年前後の人は、この違いを意識するかしないかで確実に仕事の内容や相手に変化が起きるはず。


自分の事業の強み、把握できてる?

起業する前に相談窓口を利用した時や、起業した後にセミナーなどに参加した時などに「自分の事業をしっかりアピールしなさい」と言われる機会は多いのではないでしょうか。

確かに起業すると自分自身が営業ウーマンですから、どんな事業をしているのか、どんな商品やサービスを提供しているのか、きちんと説明できるようになることは大切です。
 
しかし自分の事業についての説明をまとめる際に考えておきたいのが、事業の強みは何かということ。
同業他社にはないもの、同業他社にあってもこの部分で負けないと言えるもの。
これを客観的に把握できていると、事業説明のインパクトをかなり大きく与えることができます。
 
たとえばマッサージサロンなら、福岡県内で唯一受けられるサービスメニューを受けてもらえる。
料理教室なら、栄養士がつくった栄養バランスの取れたレシピを準備し実際につくる体験ができる。
などなど。

さて、あなたはいかがでしょうか。
もし考えたけれど思い当たらないのであれば、一度じっくり考えてみましょう。


なぜ事業の強みが必要?


事業の強みが必要な理由はいろいろありますが、特に頭に入れておきたいのは2点です。

まず、差別化ができること。

物販であってもサービスであっても、事業の強みがあると他社との違いをしっかり打ち出すことができます。
お客様が欲しいと思う商品、ないと困ると思うサービスには、商品の特徴や金額やサービスの提供方法などにおいて独自性があるものが多いですよね。
つまり他社にはないから求められるということです。

もうひとつは事業内容を伝えやすくなるということ。

担当者に初めてお会いして事業説明をする機会がもらえたとして、そう長々と説明に時間をとることはできません。
たいてい数分、短ければ30秒程度です。

そういうコンパクトな時間の中に知ってほしい情報をしっかり入れるためには、強みのポイントをしっかり把握して説明に盛り込んでおく必要があるのです。




視点を「相手」に置いて考えよう


自分の事業の強みを把握できたら、次は事業説明の内容を考えてみましょう。
ここで意識したいのが今回のテーマである「アピールと提案の違い」です。
 
ざっくりと言ってしまうと、
私はこういうことができますと言うのがアピール
私と一緒に組むとあなたにはこういうメリットが生まれますと言うのが提案

です。
 
似ているようで全く違う意味をもつこの2つの決定的な違いは…そう、視点ですね。
アピールは自分に視点を置いているのに対し、提案は相手に視点を置いています。
 
事業説明を受ける時、相手は「この人はどんなことができるのだろう」という点ももちろん気に掛けますが、それ以上に「この人と一緒に仕事をしたら自分たちにどういうメリットがあるのだろう」と考えながら話を聞いています。

つまり単なる事業のアピールでは相手の心には響きにくいんですね。
 
住宅関係の仕事をしている私の場合、講座の講師の依頼が来た際ー

「間取りやインテリアについて話すことができます」というのがアピール
「リノベーションをご検討中の方向けに、現場事例とお客様の声を紹介しながら間取りの考え方の具体的なポイントを話すことができます」というのが提案です。

後者だと、依頼先は「近々リノベーションをしたいという参加者が増えて契約が取れそうだ」と私に依頼するメリットを感じていただきやすいのです。
 
自分ができることよりも、相手が求めていることを意識しながら自分の事業を説明できるようになると、明らかにいい反応が増えてきますよ。
 
ちょっとしたことですが、この積み重ねで今後手にする結果は必ず変わります。
アピールではなく提案ー少しずつでいいのでぜひ意識していってくださいね。


一般社団法人女性起業家スプラウト 公式HP→http://sprout.gr.jp/
 
 
長菅由美子さん
住空間設計室 CUBE 代表 。(一社)女性起業家スプラウト代表理事。
2001年に独立し、住空間コンサルタントとして住空間全般のコンサルティング、コラム執筆、セミナー講師など福岡県内外の法人・個人を対象とした多数の案件に携わっている女性建築士。夫の転勤によるゼロからの営業基盤の再構築、約3年の出産育児休業のブランクによるリスタートを経験。現在は仕事と双子育児&家事を両立するべく奮闘中。
(一社)女性起業家スプラウト設立時から参画し、副理事としてさまざまな女性起業支援業務を担当。2015年に代表理事に就任。女性の起業支援にも力を入れている。