くらし 女性の起業あれこれ

打診されて断るのはもったいないぞ。

先週、2つのイベントを無事盛会のうちに終えることができました。

ひとつは前回記事『自分を変えるよりも簡単にできること』でもご案内した『オンナのカタリバ』。起業前後に抱きやすい悩みをみんなでシェアして解決のヒントを探ろうというイベントで、尖ったアイデアがいくつも提案され大盛り上がりでした。

もうひとつは先輩起業家のリアルな体験談を直接聞ける『SPROUT'S VOICE』。営業がテーマだったせいか飛び込み参加も多く40名もの方にご参加いただきました。

こうしたイベントの運営企画を、私は4年前から女性起業家スプラウトの中で担当しています。
ただし私の本業は住宅設計やインテリアコーディネートです。

「なぜ本業と関係のない、しかも報酬につながらないことをやるの?」とそれはもう数え切れないほど聞かれます。
起業した経験者とはいえ専門知識のない立場でなぜ起業支援団体の代表をやっているの?と聞かれることも多いです。

その理由はたったひとつ。
私の中ではその理由によって本業とそれ以外の仕事がきちんとつながっています。そして起業家であれば理解していただける理由だと思っています。



 

「やりたいこと」と同じくらい重要なこと


起業を考えたり実際に起業する時、おそらくほとんどの人は「自分がしたいこと」をビジネスにしようと考えるのではないでしょうか。

私も同じで、独立した当初はもちろん、結婚で移ってきた福岡で営業基盤を築き直した時や出産休業を経て復帰した時も、仕事を進める上での計画は自分がしたいことを軸に考えていました。

その考えが徐々に変わってきたきっかけは、スプラウトにおいて今まで経験がない仕事を担当したことでした。
行政機関や一般企業・他の起業支援団体と連携してイベントの企画運営をするという担当です。

打診を受けた当初の気持ちはこうでした。

いやいやいや、できんって!

で、即断りました。
確か何度も断った記憶があります。

しかし私に打診してくれた人はこう言いました。

「まず話を聞いてください。できると思っているから言っているんですよ」

その一言が妙に説得力があり、とりあえず話を聞いてみました。
そして失礼ながらダメもとという感覚で引き受けました。

それから4年経つ今でも、企画運営という仕事が自分に合っているかは正直言ってよくわかっていません。適性がある実感もありません。

けれどいろいろ工夫しようと自然に動いていることは確かです。
また、迷惑がかからないよう適度に私の立ち位置を周囲に確認していますが大きく外れてはいない様子。
そういった状況を考えると少なくともこの仕事が嫌いではなく、適性がないわけでもないのかなと感じています。

何より続けていられるのは、結果的に企画運営の仕事が本業としっかりリンクしている状態だから。

たとえば、参加してほしい相手を想定して進めていく企画運営はクライアントのニーズを汲み取って提案プランをつくるという私の本業とポイントが同じ。
一人ではなくチームで動く点も同じです。
こうした共通したポイントが双方にはいくつかあるので、片方で得た知識や経験がもう片方で生かせる形になっています。

本業だけでは得られないものが手にできて、仕事にもいい形でつながっている。
これが私がスプラウトの活動を続けている理由です。



 

セルフイメージは自分で決めない


「とはいっても本業以外のことに時間を使うなんてもったいない」という方もいるでしょう。

それはもっともな考えです。
本業に専念するのはビジネスを進める上で重要な要素のひとつ。
けれど必須の要素ではないと私は感じています。

たとえば自分がやりたいことが市場に本当に求められているかというと、実はずれていることもけっこうありますよね。
商品やサービスを提供したい相手が本当に求めているものと違うとか、専門的すぎて共感されにくいとか。
こういったずれは自分ひとり、もしくは似たような価値観の仲間だけでビジネスを進めていると実は気づきにくいです。

本業とは違う立ち位置で本業とは違うことについて考える。
そんな経験が客観的な視野や考えを身につけることにつながり、本業にもいい影響を与えるということは多いのです。

「こうしたらいいんじゃない?」「あなたならこうするといいと思うよ」といったアドバイスをもしもらう機会があったらチャンスです。
一度でいいので試してみてください。
あなたが見えていなかったこと、気づいていなかったことがあるかもしれません。

「こういうのを作ってくれないかな」「これをやってもらうことはできる?」といった打診を受ける機会があったら、これもチャンスです。
断らないでください。
今までしたことがなかっただけで実はできることかもしれません。

自分だけで考えてやりたいことだけにフォーカスして動いていると、結局は自分が考える範囲の仕事しか入ってこないものです。
「これならできる」と自分で判断して動いたとしても、やはりそれは自分の考えでしかないので仕事はその範囲でしか広がりません。

人が、特に異業種の相手があなた自身やあなたのビジネスについてもっているイメージはたいてい的確です。
それは客観的に、そして純粋にあなたの言動から判断しているからです。

もし何かを頼まれたり打診された時は、あなた自身の固定観念はいったん横に置いておいて聞いてみてください。
そしてできる範囲でいいので受けてみてほしいのです。

客観視できる訓練になるだけでなく、思いもかけない世界が広がる可能性がありますから!



 

仕事は時間をかけて広げよう


意外なオファーをもらって、迷ったけれど受けてみたら仕事の幅が広がった―
こういった話は私の周りで頻繁に聞きます。

先日の『SPROUT'S VOICE』でも参加者のお一人がほぼ同じことをおっしゃっていたのが印象的でした。

ちなみに私も受けた仕事を一切断らないと決めて1年間過ごしたことがありますが、その結果設計やコーディネートの仕事だけでなく「起業体験を話す」「コラムを書く」といった未経験の仕事もいただくことになりました。

変わったところでは「女性建築士を主人公とした小説の校閲」といった仕事も。

この経験はその後の仕事の広がりにつながった貴重なものです。
いやーできませんと断って、一人で事業計画を考えて進めていたらきっと味わえなかったでしょう。

本業以外のことをやるというと、ついすぐ仕事につながるかどうかで判断してしまいがちですね。
しかし一見本業と全く違うように見える仕事でも、予想外の形で本業につながったり仕事の枝葉を広げるきっかけになることがあるのです。

ただしそれを実感するまでにはある程度の時間が必要です。
打診をもらって受ける、その繰り返しを続けてこそ仕事の枝葉は広がっていくからです。
その代わりけしてムダにはならない時間だということもお伝えしたいです。

急がば回れ。
将来のために今できることを積み重ねていきたいですね。




一般社団法人女性起業家スプラウト 公式HP→http://sprout.gr.jp/