くらし 猫本屋のひとりごと

浮世絵の猫たち

まずは国芳

 昨今は浮世絵の猫たちの展覧会が多く開催され賑わっていますね。それらが描かれたのは今から約180年ほど前のことで、当時の江戸には猫ブームがおきていました。

その中心となったのは歌川国芳という、ロック魂にあふれた浮世絵師です。
「通俗水滸伝豪傑百八人」という水滸伝シリーズでブレイクして「武者絵の国芳」と言われました。
(ちなみに江戸に彫り物が流行ったのはこの作品の影響もあると言われています)

勇壮な武者絵の他、美人画、役者絵、洒落を利かせた戯画など多くのジャンルを描き分けた絵師ですが、当店的にはずせないポイントは「浮世絵師随一の猫好き」というものです。
常に多くの猫を飼い、作画中には懐に入れ、愛猫が死んだら戒名をつけて回向院に葬る、など並の猫好きではありません。
国芳の猫浮世絵は身近に猫がいて観察した人しか描けないリアリティ溢れる、その上ユーモアに満ちた洒落たものになっていて、現在でも圧倒的な人気を誇っています。

もちろん国芳以外の浮世絵師―北斎、豊国、国貞など―も猫を描いていますが、あくまで絵の中の小道具のような扱いで、猫を主題とした浮世絵は国芳が初めてだと思います。
また、国芳の弟子たちも沢山の猫を描いて、明治期に「おもちゃ絵」と呼ばれるものを描いた絵師もいますが、やはり師匠を超える猫浮世絵は生まれなかったのではないかと思います。

「鼠除けの猫」(1830年頃)
あまりにも真に迫っているため、この絵を貼ると鼠が来なくなるといわれたもの
「猫の当て字 たこ」(天保12-14年)
猫の寄せ絵として有名な作品です。
「金魚づくし 百ものがたり」(天保後期)
金魚たちが百物語をしていたら最後に幽霊ではなく
もっと恐ろしい猫が現れた、という笑えるオチが

 
広重もお忘れなく

国芳と同い年の歌川広重は「東海道五十三次」で名声を不動のものにした、風景画で有名な浮世絵師ですが、その風景画にひっそりと猫がいます。

遊女の部屋とおぼしき窓辺に座り、暮れゆく空を眺める猫。まるっちい背中に、当時の多くの猫がそうであったような短い尻尾、なんとなく哀愁を感じさせる作品です。

また、当時のいわゆるスケッチ画を集めた「浮世画譜」には猫のいろいろな動きが描きとめられています。左下の紙袋を被せられ、迷惑そうな猫。今も昔も猫に対するいたずらは同じですね。

ちなみに今月6日は159回目の広重の命日(広重忌)でした。
「名所江戸百景 浅草田甫酉の町詣」(1857年)
「浮世画譜」第3巻より(嘉永〜安政期)
いわば、スケッチ帖のようなもの。素早い筆さばきで描かれた24匹の猫たち
 

意外なところで…

おまけに。浮世絵ではありませんが、鳥獣戯画に猫が一匹だけ登場しているのをご存じですか? 
甲巻の後半部分に倒れたカエルの横を通る通行人の一人として、烏帽子を被った猫が描かれています。
トラ猫で、尻尾をちゃんと手に持ち、口もとを扇子で隠したお行儀の良さ。まるで当店の公家(野良)猫の飛梅太のようです。
烏帽子姿もたまらない、鳥獣戯画の猫
たいそうふくよかになった飛梅太。さすが公家猫、お行儀が良いようで…

●当店では浮世絵の猫たちの本やグッズを沢山取り扱っています!
​「浮世絵の猫たち」
http://wagahaido.com/shopping/campaign/13970
 

 

講演会のお知らせ

福岡県田川郡の「ふくちのち図書館」にて下記のように講演会を行います。
お近くの方はぜひお越しください。
当日少しですが当店オリヂナルグッズの販売もいたします。

■第10回「知る」ってたのしいinふくちのち~私が猫本屋を始めたわけ~
日時/2017年9月23日(土・秋分の日 14-15時)
場所/福智町図書館・歴史資料館「ふくちのち」
〒822-1101 福岡県田川郡 福智町赤池970番地2  TEL: 0947-28-2855 FAX: 0947-28-2866
http://fukuchinochi.com/…/%E7%AC%AC10%E5%9B%9E%E3%80%8C%E7…/