まち 編集部発!耳より情報

劇団「ヨーロッパ企画」、20周年ツアーへの思いをインタビュー

京都を拠点に全国で活動する劇団、ヨーロッパ企画。
20周年を迎えた彼らが、全国ツアーを開催します!

なんと、上演作は、「サマータイムマシン・ブルース」!
ひょんなことからタイムマシンを見つけた大学のSF研究会の面々が、
しょうもない目的のために昨日と今日の間でタイムスリップを繰り返す…。
絶妙なゆるさがかもし出す笑いと巧みな展開が話題を呼び、
映画化もされた代表作が、満を持して13年ぶりに再演されます。
しかも、「ブルース」の15年後を描く新作「ワンスモア」と同時上演。

作・演出の上田誠さん、永野宗典さん、石田剛太さんに、ツアーへの意気込みを聞きました。
―ツアーへの意気込みを
上田 20周年を迎えることができました。あっという間でしたね。
「サマータイムマシン・ブルース」は、2001年、大学生の頃に作った作品。夏の部室にタイムマシンが現れて、クーラーの壊れたリモコンを昨日に取りに行く…という、昨日と今日の2日間の出来事を描いた青春SFものです。作った時は、まさかこんなに引っ張る作品になるとは思っていませんでした。僕たちも、よくできたなと思って再演もしたし、映画化もされて。ただ、大学生の役だし、あまりやり続けるのもなということで、演じたのは2005年が最後。初期の僕らの代表作のような作品です。
 20周年の公演に、何をしようかなと思って。単純に「サマータイムマシン・ブルース」をまたやりたいという思いつきもあったのですが、「ブルース」の15年後の話「ワンスモア」を作って、見比べてもらうのはどうかな、と思いついたんです。でも、やってみると、2作品同時に作ることになって、大変で苦境に立たされていますが…(笑)。交互上演で、当時と今を見比べていただいて、僕らが成長したのか、年老いたのか、変わっていないのか、見ていただけたら。
2005年の作品に出ていた10人のメンバーのうち、女優さん1人はヨーロッパ企画を離れているんですけど、後のメンバーはまるまる残っていて。ほぼ変わらないキャストで再演できるというのも珍しいし、嬉しいですね。

石田 20周年。集大成というよりは、これからもっと面白いことをやっていこうという気持ちです。平均40代のメンバーが大学生を演じる、というのはバカバカしくて面白いかな、と思っています。でも、ただの再演だけではまだ面白くない。じゃあ、と続編を作って、一緒に交互に上演するなんて…これは面白いことを思いついた! 20周年の良いスタートダッシュが切れるんじゃないかな、と思っております。

永野 最近は、実年齢に近い中年を演じることが多かったので、大学生役をやるのに抵抗があったんですけど、練習をしていると、だんだん錯覚をしてくるというか。青春の感覚を取り戻せている気がします。過去を思い出しつつ、フレッシュな気持ちで臨めています。肌もイキイキしてきたような…(笑)。
一方で、「ワンスモア」は実年齢に近い役。等身大の、今のヨーロッパ企画のフルパワーで臨みたい。「ブルース」は当時、僕たちの大きな出会いをもたらしてくれた作品。今回は、「ワンスモア」が、これからの新たなスタートと出会いの機会になれば良いなと思っています。
 
―13年ぶりの再演。変化を感じますか
石田 「ブルース」の2005年公演のDVDが出ているので、今回再演するにあたり、メンバーみんなで上演会をしたんです。そしたら、もう…。立ち位置も動きもすごく悪くて。あの当時、見せ方がそんなにできていなかったんだな、と。今回は、自分なりにより良くしていきたいと思っています。
上田 それを修正すると、「ブルース」の方が面白くなっちゃうんです…。
石田 「なっちゃう」って(笑)。
上田 祈るように「ブルース」面白くなるな!と思いながら、やっています。ライバル関係がおかしいですね(笑)。
 
―「ブルース」の方は、大きな変更は?
上田 今見ると、芝居ヘタだな、いいセリフ少ないなとか、いろいろ思うことはあるので、気付かれないように、マイナーチェンジしようと思っています。
 
―大学生の役ですね
石田 そこは大目に見てもらって…(笑)
永野 当時、言い難かったセリフもすんなり言えるようになったところに、自分の変化を感じます。でも、熟練したことで、若く見えなくなったりしないか。青さのような部分が削がれてしまうのではないか、不安。今40歳の自分が素直に演じることが、作品の世界観を壊さず、当時の良さをそのままに、より面白くできるのか、大きな課題だなとは思います。
石田 考えちゃいますよね。
上田 何か損なわれるものがあったら嫌なので、当初は台本は当時のものを変えずにやっていたんですが、最近、少し修正を入れ始めたんです。そしたら、見違えるように面白くなったよね(笑)
石田 ほんと、よくできた本だなと思います。
上田 それを、今の実力でやるから、「ブルース」は相当面白いと思います。「ワンスモア」、頑張らなくちゃな…。
 
―「ワンスモア」はどんな展開に?
上田 もちろんタイムマシンは出てきます! 「ブルース」と「ワンスモア」をつなぐような役割としてタイムマシンが機能すると良いなと思っています。
15年も経っているので、劇中の彼らも、あの時、リモコンを取りに行くしかできなかったけど、今だったらもっと使い道があるんじゃないか、と(笑)。
「タイムパトロール」を出したいなと言ったら、それはやめてと奥さんに言われました。「ブルース」のニオイを残しながら、いろんなものを試して、「ワンスモア」らしいものを作りたいなと思っています。
 
―20年の変化、劇団が続く秘訣は
上田 当時からみんな面白かったけれど、視野が広くなって、面白さにプラスされるものが増えてきました。例えば、気配りもできるようになって。
僕は劇団を船に例えることが多いのですが、船も劇団もわりと先に氷山が見えていても、早めに舵を切らないと間に合わない。僕のイメージですけど、どんどん夢をかなえて楽しくなるというよりも、劇団は始めた当初から楽しい。その楽しい航海を、いかに長く続けられるかが重要。
その中で、メンバーはみんな、「船のココ、穴が開いているな。放っておいたらヤバいな」というのを察知するのが早くなった。亀裂が大きくなって分裂、コミュニケーションがとれなくなっていく…という劇団も見てきているのですが、そうなっちゃいけないと思っていて。僕らは良好に続いていて、良好に続けるための気配りがうまくなったなと思います。
永野 みんな同じ方向を見て、続けたいと思っているからこそだと思うんですけど。メンバー変わらず、フォローし合っている。あいつが調子悪い、じゃあ誰がいけるか、と作戦を練ったり。舞台を作る以外の場面でも連携できているというか。
上田 ここから先、でも、どうなるのかな…。セリフを忘れていったり…
石田 老いがね。
上田 頑固になったりするとかいうじゃないですか。今は兆しはないけど…。
石田 ただ、コミュニケーションを取りあって、フォローし合ってというのを大事にしていると、長く続けられるかもな、って思っていますね。グループLINEとか、助かってるな(笑)
上田 長く続けていると、やれることは増えるし面白くなっていく実感があります。昔に比べて、今の方が面白いなって思いますし。
永野 役者はみんな、上田から手ほどきを受けて脚本を書いたり、演出もするようになって。作家の気持ちも分かるようになったし。スタッフ側の気持ちも分かるようになったのも大きいですね。
 
―「ブルース」と「ワンスモア」を交互に演じる上で期待することは
石田 上田君も言っていたんですが、「ブルース」と「ワンスモア」を2個作ると思うと大変。4時間弱の作品を1つ作ると思えば、やれるかも…という。
上田 それ、気休めで言ったんだけど(笑)。どちらかしかご覧にならないお客さまにも楽しんでいただけるように作っています。
永野 2本続けて見たら、青春が弾けていた奴らが、中年になった、その描かれていない行間のことも想起させることになりそう。今までの公演とは違う楽しみ方ができると思います。
石田 「ブルース」と「ワンスモア」のどっちが面白い?って、やはりなると思いますが、新しく作る「ワンスモア」の方が、より面白いと思ってもらえたらいいな、という気持ちはあります。
上田 こんな風に、僕らもギラついているんです。「ブルース」から15年、というのが絶妙で。30年だったら懐古的になってしまうけれど、15年だと、まだまだいけるんじゃないの?という感覚。劇中の登場人物たちもきっとそう。そういう意味で「ワンスモア」、「もう1回!」って、厚かましい話ですけど(笑)。良い意味でのギラギラ感が出せると良いなと思っています。

ファンの多い人気作の再演&続編とあって、すでにチケットは残りわずか。
気になる人は、お早めに!

STORY
サマータイムマシン・ブルース
夏、とある大学の、SF研究会の部室。
SF研究を一切しない部員たちと、その奥の暗室に居をかまえる、 カメラクラブのメンバーたち。そんな日常に、ふと見ると、部屋の片隅に見慣れぬ物体。
「これってタイムマシンじゃん!」どうやらそれは本物。興奮する一同。
先発隊に選ばれた3人は早速タイムマシンに乗り込み、昨日へと向かうが…。

■サマータイムマシン・ワンスモア
タイムマシンが現れた「あの夏の日」から、15年後。
SF研究会の元メンバーたちと、隣のカメラクラブの部員たちは、再びこの部室にやってきた。懐かしい匂い。今はお互い離れているが、あの夏の日は今も。そこへまた、タイムマシンが…?
 
ヨーロッパ企画20周年ツアー
サマータイムマシン・ブルース
サマータイムマシン・ワンスモア

日時=10/27(土)・28(日) 
各日ともに①13:00(ブルース)②18:00(ワンスモア)で交互上演
会場=西鉄ホール(福岡市中央区天神2-11-3ソラリアステージ6F)
料金=前売り4500円、当日5000円(全席指定・未就学児入場不可) 
※チケットは、スリーオクロック・チケットぴあほかで発売中、残席わずか
問スリーオクロック☎092(732)1688 https://3pm-net.com/