まち ふむふむ福岡博物メモ

この絵では見えませんが…

 

福岡市博物館の学芸員ならではの目線で綴る、歴史や郷土などに関するミニ知識

作者不詳「死絵 八代目市川団十郎」
(部分)1854年頃

男性の遺影の前で泣く女性たち。“今に結婚しようと思っていたのに” “尼になってもお前のことが忘れられないのに” “仕事も何もかも嫌だ” “もう一生芝居は見ない”。そんな心の声が漏れ聞こえています。描かれているのは、八代目市川団十郎(1823~54年)。人気絶頂期に旅先で突如自刃を遂げた、悲劇の役者です。

当時の狂言台本では、彼は最後に「博多帯を〆(しめ)」ていたとされます。真偽は不明ですが、博多織の帯が、粋な役者にふさわしい最先端ファッションと見なされていたことは確か。開催中の企画展「死絵(しにえ)-明るく笑ってさようなら-」(7/7まで)では、帯にもご注目ください。

佐々木あきつさん/美術(絵画)担当
「死絵について調べていたら、楽しくなりすぎて展示準備がギリギリに。もっとあれこれお伝えしたい…!」

福岡市博物館
http://museum.city.fukuoka.jp/

リビング福岡2019年5月24日号掲載 ※情報は掲載時点のものです