ワタシの本音 技ありの人間関係

ズレとズラ

うっかりしていた、郵便はがきは62円だった。10円不足で戻ってきた。先方の準備した返信用はがきが52円だったのでブツブツ文句を言ったら、妻に「確認しなかったあなたの方が悪い」と言われ、ムッと来た。しかし確かに「観察力」の不足だった。

「疑ってかかる」というのは悪い事ではない。ベテランの看護師さんや看護のリーダーの人たちと話して感心するのは「観察力・推察力」の鋭さである。患者のちょっとした変化にも敏感に気付くように訓練を受けるのだろう。言い方を変えると「心のアンテナ(送・受信機)」の感度をあげて使っているのである。

ユングは人間のタイプを「思考」「感情」「感覚」「直観」の4つの機能の特徴で考えた。これを「心のアンテナ」に当てはめると、人は4つのアンテナのどれかを好んで送受信していることになる。例えば「リンゴ」を目の前において、最初に浮かぶ言葉を言ってもらう。「思考タイプ」は「リンゴ」という。「感情タイプ」は「おいしそう」。「感覚タイプ」は「赤い」。「直観タイプ」は「白雪姫」などと想像をめぐらす。

ある看護教師は、一人の学生がいつも長袖のシャツを着ているのに違和感を持った。個別に呼んで話を聞くと、手首にたくさんの傷があった。母親も気づいていないという。本人を勇気づけて親を交えての三者面談を行った。初めて母と娘が向き合い、互いの本音がでた。その学生は見違えるほど元気になったという。

その先生は「長袖」を見て「リストカット」を想像した。「直観」のアンテナを使ったといえる。自分の得意なアンテナを自覚しておきたい。子どもは直観や感覚のアンテナを多く使い、大人や教師は思考や感情を多く使うとされる。相手のアンテナに向けて送・受信をするときには配慮が必要である。ズレるとまずい。

「思考と感情のズレた話」を学生に聞いた。食事中に父が沈んでいる。カレーが大好きなのに手元がすすまない。心配した母が尋ねると「いやちょっと悩んでいただけだ」と言った。すると母が場の空気を変えようとして「そっかぁー。それより話変わるけど、最近髪の毛薄くなってきたんじゃない」といった。それを聞いた父は「話変わってないよ」とつぶやき、カレーを残して自分の部屋に閉じこもったという。残念!