ワタシの本音 技ありの人間関係

孤独とわっか

「誰でも“孤独”な気持ちになると分かって楽になりました」。学生からのコメントである。「孤独」と「孤立」の違いを学生に説明したのだ。残念ながら人は一人で死んでいく。

孤独は当然の感情であり、これを思い通りにはできない。どんなに楽しくてもフト孤独感を感じるのが人間なのである。だから人は人間関係を作り「分かち合い、連帯する努力」をしてきた。先輩は「いやだろうが酒の付き合いは断るな」と助言してくれたのだ。

孤立は良くないからだ。孤独を感じ、それをあわてて打ち消そうとしたり、怖いものだとすると孤立が始まるのである。ネットにハマるとなおさらである。孤独は当然だと覚悟した時、不思議なことが起こる。

絵本「ちいさな1」(ほるぷ出版)は面白い。数字の1の物語である。1は独りぼっち。2の世界に入ろうとするけれど形が違うから入れない。3の世界も4の世界からも排除される。9の世界には9匹の金魚が泳いでいる。誰も1なんか見もしない。1はがっかりする。そんな時に真っ赤な「わっか」がころころ転がってきて声をかけてくれた。

「僕のよこに立ってみて、ぼくらは10になれるんだ」。そしてちいさな1とわっかは一緒に楽しそうに遊びだす。絵本は穏やかに安らかに寝ている1で終わる。孤立しないで孤独を楽しむ1の姿である。

妻と博多座に行った。演目は「夫婦漫才」。演題と主役の大地真央に魅(ひ)かれて、初めて夫婦2人で博多座に出かけたのだ。会場に入ると、華やかな呼び込みの声で弁当の販売をしている。舞台の幕間に座席で弁当を開くのも芝居見物の醍醐味である。私が「買おう」というと妻は「私はいらない」という。

何でと聞くと、「もったいないから、家に帰ってあるものを食べる」という。「なんでやねん!」と思った。いつも言い出したら聞かないから諦めた。幕が開き、舞台での夫婦をみて驚いた。私と同じような頼りない旦那さん。妻の仕切りで生活がすすむという2人の関係だった。でも2人とも幸せそうだった。絵本を思い出した。1とわっかの組み合わせはこんなことだろうなと。

11月は夫婦の日が2日あった。11月22日が「いい夫婦の日」、11月23日が「いい夫妻の日」である。たくさんいる1の皆さん! 赤や青、金のわっかを信じよう。