ホンネ 技ありの人間関係

とぶ時間

名作「ゾウの時間とネズミの時間」の解説絵本を読んだ。目からうろこだった。著者は「本川達雄」。生物学者である。

話はガリバー旅行記の小人さんたちの討論から始まる。自分らの12倍もあるガリバーの食事の量をどうするか。彼の体重で計算しよう。いやいや表面積で計算すべきだ。どちらもはずれ。読者の興味を引きつつ、食べる量と呼吸の回数、さらに寿命の長さに話は及ぶ。結論は不整脈の心臓を持つ私にとって驚くべきものだった。

「15億回心臓が拍動したら哺乳類は死ぬ」ということだ。ネズミのような小さな動物は心臓が早く打つから、拍動の遅いゾウより早く死ぬ。短命でかわいそうだと一見思われるが実はそうではない。拍動の一つひとつに人生が刻まれるとすれば、どんな動物も15億回という同じ量の一生を過ごす。人間の作った時間ではかるのは的外れである。小さい動物は駆け抜けるように生きるのだ。ゾウにはゾウの時間があり、ネズミにはネズミの時間がある。

この生物学者の発見したことは、「イノチには何の差別もなくすべての哺乳類の生は平等である」ということと、「イノチの本質は時間である」ということである。

しかし、すべてのルールには例外がある。ナマケモノはすべてにゆっくりで使うエネルギー量も少ない。同じ大きさの者より1・5倍長く生きるとされる。ということは、長寿を実現するにはゆっくりした呼吸によるゆったりした心臓の拍動を保つ方がよいことがわかる。呼吸法が健康のもとであるし、ゆっくり打つ心臓へと鍛えることが望まれる。

ゆっくりと言えば「沖縄時間」を思い出す。沖縄のファストフードに行ったとき、あまりのゆっくりさにびっくりした。「沖縄時間」はネットのウキぺディアに掲載されるほど有名である。「独特の時間感覚。これをウチナータイム、沖縄タイムと呼ぶ。遅刻くらいで文句をいう人間は口うるさいなどときらわれる」とある。確かに「急ぐことなど一つもない、急いでいる人がいるだけである」。人間あんまりせっかちだと早いどころか時間がとんで無くなるようである。

それを経験した学生から聞いた話。「昔、友達からもらった年賀状に〝昨年はお世話になりました。来年もよろしくお願いします〟と書いてあり、“今年”はどうしたのかと思った」