ワタシの本音 技ありの人間関係

駅と電車は不思議な世界

JR通勤歴33年になる。駅の構内や電車の中は不思議ワールド。このコラムにも書いたけれど、妙なことが起こる。

「帽子の神隠し」もその一つである。ホームに降りるエスカレーターに乗っていた。すると特急の通過する風が下から吹き上げてきて、かぶっていた帽子が後ろに飛ばされた。すぐに後ろを向いたが見当たらない。駅構内を20分ほど捜したけれどどこにもない。

思い当たったのは亡くなった父が持って行ったことだ。親父も薄毛になっていた。それを隠すのにちょうどよい。それ以来、私はこつぜんと姿かたちの消える「神隠し」と薄毛の「髪隠し」という言葉に親しみを持つようになった。

もう一つの奇妙な出来事は「不思議なトランプ」だ。9年前の8月9日「ナガサキ原爆の日」。この日は学生たちと平和太鼓を打ち鳴らす大事なイベントの日だった。小倉に向かう電車に乗り、フト窓のサンを見るとラミネートされたトランプの「クラブのエース」が1枚置いてある。友人にすぐメールして「クラブの意味」を調べてもらった。

返信が来た。「クラブは4つのマークの中でもっとも縁起の良いもの。栄光、活気と冒険心、創造の火」とあった。この日は八女市星野村から採火してきたヒロシマ原爆の火を前にイベントをやる日だった。そしてこの火を1週間かけて長崎街道230キロを自転車で運ぶ、「冒険の旅」の始まりの日だった。イベントは大成功だった。トランプを置いた見えざる「神の手」を確信した。

学生も電車でさまざまな体験をする。ある女子学生。「電車通学の私は背が低いので、立ってつり輪をつかむと身体が一直線になる。その日も立ってつり輪をつかんでいた。その時、小学生がどっと乗り込んできた。電車が動き出すと一人の女の子が背伸びをしてつり輪をつかもうとした。それを見た引率の女の先生が“危ないからやめなさい。つり輪は大きくなってからよ”と言った。

するとその女の子は“大きくなってというのはどれくらいなの”と聞いた。先生は自分の肘を見ながら“先生みたいに肘が直角にならないとだめなのよ”と答えた。その女の子は近くにいた私の肘をじっと見た。それ以来、私はつり輪にはつかまっていない」。神の肘を信じたいものだ。