門司港を見守るように立つビルマ様式の寺院「世界平和パダゴ」

門司港の国民宿舎めかり山荘の右手にある坂道を下ると、金色に輝く塔が現れます。その正体は、ビルマ(現ミャンマー)様式で建てられた日本唯一の寺院「世界平和パゴダ」(以下パゴダ)。ミャンマーから派遣された僧侶3人が常住し、平和祈念、慰霊に勤めています。

世界平和祈念と戦没者慰霊のため、建立

1954(昭和29)年、ビルマで第6回仏典結集会が開催されました。式典には全日本仏教会の代表も出席。その際、南方上座部仏教(インドからビルマなど東南アジア方面に伝わった仏教)を日本にも紹介したいという話が持ち上がり、ビルマ仏教会に希望を出しました。

これを受け、1957(昭和32)年6月、ビルマからの視察団が来日。門司市(現門司区)で、拠点となる敷地を視察すると共に鍬入式が行われました。続いて同年8月、日本・ビルマの親善に勤めるためにビルマ僧侶使節団が来日。

それから約1年後の1958(昭和33)年9月、世界平和祈念と第二次世界大戦の戦没者慰霊のため、世界平和パゴダは完成しました。ビルマ仏教会代表や駐日ビルマ大使、門司市長ら有志によって、落成式が行われたのでした。総工費は4000万円。ビルマ仏教会の拠出金と日本国内の寄付金で折半されました。

高さ45mの円すい形をした塔の先端部分には、建設当時、300万円といわれたダイヤモンド・ピナクル(尖塔冠)をはじめ、水晶などの宝石が輝いています。パゴダ内部には、高さ1.6mの釈尊座像が安置されていて、僧侶たちによって毎日祈りが捧げられています。また、ビルマ戦線などの戦没者を慰霊する位牌(いはい)も約80基置かれ、毎年10月5日に「慰霊祭」が行われています。

3人のミャンマー人僧侶が日本語で案内

幅広い年代の人たちが足を運ぶパゴダ。平日は5〜10人、週末は約20人の人たちがやって来ます。そのパゴダから70mほど下ると、静寂の中、たたずむ僧院が見えてきます。

ここでは3人のミャンマー人僧侶が立ち寄る人々を温かく迎えてくれます。現在は、ウ・ケミンダさん(87)、ウ・ウィジャナンダさん(64)、ウ・スセインナさん(55)が暮らしています。
ウ・ウィジャナンダさん

「日本語は門司港に来てから勉強したよ」と話すウィジャナンダさんは来日して30年。ケミンダさんは50年以上、一番最後に来日したスセインナさんは25年以上と、3人とも日本での生活が長いので、日本語には困りません。僧院では、パゴダの歴史についてはもちろん、仏教やミャンマー文化などについて、直接話を聞くことができます。

「『パゴダ』は英語で仏塔のこと。ミャンマー語では『ゼディー』と言います。日本で2カ所にパゴダを建てようとしたらしいのですが、結局ここ1カ所だけになりました。門司港が選ばれた理由は、ここからたくさんの兵隊さんが船でビルマに渡ったからですね」と、ウィジャナンダさんが説明してくれました。
僧院「僧院では仏教の話もするし、悩みがあれば話を聞きます。ミャンマーに行ってみたいという人には、ミャンマーの文化についても教えます。宮崎県や広島県など遠くから来る人もいますよ。昔は平日でも30~40人、週末になると100人くらい来てくれていたけど、最近は少なくなっているので残念。ミャンマー人の僧侶がいるのは日本でここだけなので、気軽に立ち寄ってもらえたら嬉しいです」

門司港の街を見守るように建つ、日本・ミャンマー友好の象徴、パゴダ。今日もまた、ミャンマー人僧侶たちが世界平和を願って祈り続けています。
パゴダの中にあるクジャクのステンドグラス
僧侶たちが特別な行事を行っていた「戒律堂」は自由に見学できます

ミャンマー方式のお参り

パゴダではミャンマー方式でお参りできるように、「礼拝」「三帰依」「五戒」「祈願」「先祖供養」のために唱える言葉をカタカナで書いたプリントが用意されています。現在のミャンマー語ではなく、パーリ語と呼ばれる上座部仏教教典で用いられる特別な言葉を使用。僧侶たちに発音を教えてもらいながら、ミャンマー方式で祈ってみませんか。

(例)

礼 拝
「ナモータッサ・バガワトー・アラハトー・サンマーサンブッダッサ」(×3回) (私はあの良いお方、尊いお方、正しく、欠けることのない御仏を拝みます)

祈 願
「イ・ダン・メ・プンニヤン・アーサワッハカヤン・ワハンホートゥ・イ・ダン・プンニヤン・ニッバーナッサ・パッキャ・ヨーホートゥ」(この功徳が永遠の平和の原因になりますように)

定例会
決まった日に行われているのは、法話会(毎月1日・15日)、座禅会(毎月第1・3日曜)、「お花祭り」(毎年4月29日)、「慰霊祭」(毎年10月5日)。このほか、希望があれば個人指導も可能です。

【世界平和パゴダ】 
■受付時間 午前9時~午後5時
■拝観料 大人100円、小人50円
門司区大字門司(西鉄バス「めかり山荘」下車)
​問093-321-1024

リビング北九州2009年10月3日号掲載 ※この情報は掲載時点のものです