くらし 特集(くらし)

「第2回 リビング俳句ひよっ子コンテスト」入選句発表!

リビング福岡8月11日号で募集した「リビング俳句ひよっ子コンテスト」(協賛/株式会社ひよ子)に、たくさんの投句、ありがとうございました。お待ちかねの発表です!
※天賞、地賞、人賞、トコ賞、ひよ子部門佳作には賞品進呈
(上記以外の選者が気になった句やノミネート句には賞品はありません、ごめんなさい)
※氏名は敬称略、年齢は応募時

 
選者・鍬塚 聰子さん
(俳句歴30年以上。北九州市で「美禄句会」「グランパ句会」「マイマイ工房句会」「やまもも句会」を主宰)
天賞
法師蝉 私にもどる 山登り
高本美智代(56)

★日常では妻、母、嫁などやっていても、一人の人に戻れる山道には法師蝉。いいですね。
地賞
妻と母 袋とじして 旅の秋
真武香織(57)

★非日常である旅を楽しむには妻や母の立場を忘れようとする香織さん。「袋とじ」が効いています。
人賞
極上の シングルライフ 月見酒
きの子(68)

★強がりかもしれませんが、それでも楽しく生きているきの子さん。月にカンパーイ。

◆もうひと息! 聰子さんが気になった句

腹黒き 秋刀魚を捌く 厨の変
梨音(63)
★「腹黒き」にどきっとしますが、夫君が秋刀魚を捌いたことを「厨の変」とユーモアに捉えたところが好きでした。
 
まかせたよ あれから一年 彼岸花
工藤千都世(50)
★彼岸花の咲く頃、夫君が逝かれて一年。子どもたちもみんな元気ですよ、がんばっていますよとのつぶやきが聞こえます。
 
秋惜しむ ドーナツ、真ん中から食べる
水本まや(23)
★ドーナツの真ん中って? そう、そこに「秋」があるのです。だからまやさんは真ん中にかぶりつくのでしょう。
 
遠雷に 文庫閉じる 独り群青
根自子(39)
★まるで映画の一場面のようです。ふっと切ないメロディが流れてきます。
 
ベランダに また来年と 桜片
さかきょん(54)
★集めた桜片をベランダで飛ばすのが趣味の私は、この句は大好きです。

天賞
良かとこよ 屋台大宰府 祭りもくさ
小川克子(74)

★「祭」は夏の季語です。博多っ子にとって最上の祭りを最後にぽんと置いた心意気がいいですねえ。
地賞
夏涼し おきゅうと売りの 「よござっしょ」
弘美(64)

★「涼し」も「おきゅうと」も夏の季語ですが、「よござっしょ」に負けました!
人賞
(ひぐらし)が 終わりを急ぐ 油山
木皿亭(52)

★俳句らしい俳句です。難点のないところが難点で、天に選べなかったのです。ごめんなさい。

◆その他、聰子さんが気になった句

昼の月 アクロス山で ひとり飯
中嶋可絵(45)
★天神に山があるのですね。たしかに植物が生えているし…ユーモアたっぷり。
    
約束の 筥崎祭り 背を向ける
麦野結香(45)
★一緒に行こうと約束したのに。「背を向ける」は物語を生み出しますね。
 
蟋蟀も 散歩のこのこ 能古の島      
北鬼嚢(きたきのう/41)
★「のこのこ能古の島」のリズムがたのしいです。俳号もすばらしいですね。劉備ファンでいらっしゃるのですか?
天賞
くぬぎさん ふさふさぼうし にあってる
平井雄大(8)

★くぬぎの実の殻は独特。ふさふさぼうしですね。見て思ったことが、そのまま素直に俳句になりました。子どもの俳句はそれが一番!
地賞
めんたいこ あきのおこめと たべるよる
きょうたろう(6)

★夕ご飯を家族で楽しくおいしく食べている光景が浮かびます。「たべている」と「たべるよる」の違いを感じてください。
人賞
すぐ終わる せんこう花火と 夏休み
興梠優衣(13)

★中学生の実感でしょう。小学校時代の夏休みと、どうしてこんなに違うのでしょうね。

◆もうひと息! 聰子さんが気になった句

きのこだけ 山もりあるよ 大きらい
いつきのこ(9)
★いつきのこさんは、きのこが大嫌いなのですね。だから「だけ」を使いました。言葉って、すばらしい力がありますね。
 
たべるとき はくりょくあるよ オニヤンマ
そら(7)
★じーっとじーっとオニヤンマを見ていた、そらさんです。よくよく見ると言葉も生まれてきます。

天賞
Night in the zoo
little girls dressed in yukata
tiny hopping fireworks

女の子がカラフルな浴衣姿で、夜の動物園に来ていました。
はしゃいだ様子が小さな花火のようでした。

ピンクのカスミソウ(70)
★女の子が花火みたいという比喩が楽しいです。
地賞
The hottest-ever day
find two dragonflies dancing
the first pears this year coming up

猛烈に暑い日ですが、トンボと初物の梨をみつけました。
おせっかい猫(56)
★夏の暑さの中でも、秋の気配を感じ取る鋭さがいいですねえ。
人賞
Summer is coming
like a splash
Carbonated water

炭酸水の 如く弾ける 夏来(きた)る
中井朗(26)
★夏を炭酸水のはじける様子に喩(たと)えたところが、爽やかでした。

◆もうひと息! 聰子さんが気になった句

Spring shower falling fast
a man walk in the light rain
in a great hurry

旅人の濡れていくや春の雨
木楽庵(71)
★雨に濡れながら急いで歩いている男の姿に、もっとゆっくり歩いたら?と声をかけたい木楽庵さんでしょうか。

You are yawing
over the phone
On autumn night

北鬼嚢(41)
★電話を揺らしているという物憂さが、秋の夜にはふさわしい気がしました。 

講評

昨年に続いて今年も俳句ひよっ子コンテストの選句をさせていただきましたが、テレビでも俳句番組が好評のようで(私はテレビなし生活で見ていませんが)、みなさんの俳句を読むのが楽しみです。

毎日の生活の中で、ふと感じたことが言葉になって、それを五七五のリズムに当てはめたのが俳句です。そうやって、みなさん応募してくださいました。楽しい作品がたくさんあり、選ぶのは一苦労です。
 
でも、俳句作りは難しい!と思われましたか? それは上手に詠もうと思うからです。上手とか下手とかは、他人の評価です。詠む本人が「気持ちが詠めた」と思えばそれは上手にできたことだし、「うーん、満足しない」だったら下手だと言うことです。

言葉はたくさんたくさんあります。その言葉の中から、自分の気持ちにぴったりの言葉が見つかれば、俳句作りは90パーセント成功です。
ただ、美しいものを「美しい」、楽しいことを「楽しい」と言ったのでは、それは俳句になりません。それは事実であって詩ではないからです。
俳句は一種の「詩」です。詩は心の動きを相手に伝わるように言葉で述べるものです。 あと10パーセントは言葉の並べ方も含むリズムです。
 
だから、私が選んだのは作者の心の動きがリズミカルに伝わってきた作品です。その人にしか感じられない、そしてその人が選んだ言葉のある俳句です。
 
どうぞ、毎日の生活の中で「言葉」にちょっと気をつけてみてください。すてきな言葉がひょっとしたらテレビ放送の中に転がっているかもしれません。それに気づけば、それはあなただけの言葉になって生まれ変わります。
 
どうぞ楽しく俳句を作ってくださいね。来年もお目にかかりましょう。