まち・地元 FUKUOKA PEOPLE

吉浦隆紀さん(有限会社吉浦ビル代表取締役)

“古さ”を魅力に変えて
ビルを中心に始まる地域活性化

吉浦隆紀さん

最寄りの駅まで歩いて40分以上、さらに築40年以上――。

福岡市城南区樋井川にある「吉浦ビル」。オーナーは、4年前に祖父から家業である不動産会社を受け継いだ吉浦隆紀さん。賃貸物件としては、やや不利に思える条件のためか、引き継いだ時には空室が目立ちました。

しかし、家業を受け継ぐ前にニューヨークに1年間留学していた吉浦さんは、そこで古いながらも魅力的な建築物をたくさん目にしていました。

「多くの芸術家やデザイナーが住む町として知られるニューヨークのブルックリンには、古い倉庫やアパートなどが並んでいます。でも、その古さが味となって、人をひきつけ、芸術家などの創作意欲を刺激しているんです」

“古さを強みに変えて、ビルと周辺地域に人が集まるようにしたい”。そう思った吉浦さんは、吉浦ビルを住む人自身が部屋を好きに改造できる“リノベーション賃貸ビル”として再生。その自由さや面白さにひかれた人たちが入居しました。

地域活性化にも関心があった吉浦さん。事業が軌道に乗ってきた昨年、地域活性化と交流に向けて本格的に動き始めようと「株式会社 樋井川村」を設立。かつて福岡県早良郡に存在した「樋井川村」の名を冠した、まちづくりのための会社です。

7月7日には、吉浦ビルからほど近い場所にある「上長尾名店街」の空き物件を活用した地域交流スペース「上長尾テラス」をオープン。授乳室やおむつ替えスペースも作られる予定で、乳幼児連れの人も気軽に立ち寄れます。
「上長尾テラス」オープンイベントの様子。昼はカフェ、夜は地域食堂に。幅広い世代が交流できるスペースです

「子どもからお年寄りまで、幅広い世代の方が交流できる場所にしたいです。2階は貸しスペースやギャラリーといった、気軽に事業が始められる場所として利用できます」

これからの目標は、との問いに「樋井川を、福岡のブルックリンにしたいと思っています」と笑って答えてくれました。

近い将来、“樋井川”発のさまざまな文化や流行が生まれるかもしれませんね。
吉浦ビル1階にあるDIYスペース「コウボウ」で開催されたワークショップの様子「カフェで妄想すること」が吉浦さんの元気のモト。リフレッシュの時間です有限会社 吉浦ビル
http://www.yoshiura-build.jp
樋井川村
http://hiigawamura.wix.com/rental

吉浦隆紀さん
有限会社吉浦ビル代表取締役。福岡市で8代にわたる農家に生まれ、地方銀行に勤務後、起業を目指す。国内外で22回引っ越しをしながら経験を積む。2012年に築古賃貸マンション「吉浦ビル」を3代目で引き継ぎ、入居者と一緒に造る“DIY型賃貸”で満室を実現

リビング福岡2016年8月6日号掲載