まち・地元 FUKUOKA PEOPLE

よしながこうたく さん(イラストレーター、絵本作家)

絵本界に風穴を空けたい
福岡から世界に羽ばたく絵本作家

よしながこうたく さん

画面いっぱいに隙間なく書き込まれた、鮮やかで力強い絵。ユーモアあふれるストーリーも合わさって、強烈なエネルギーを放ち、一度見たら忘れられない。そんな絵本を描き、いまや人気作家として引っ張りだこの、よしながさん。

しかし、初めから順調なスタートだったわけではありませんでした。画家を目指して上京するも、時代はちょうど転換期。絵画界ではイラスト扱いをされ、イラストとしては個性が強すぎると言われ、食うや食わずの苦しい時代も。

そんな時に舞い込んだのが、新しい出版社での絵本執筆。「絵本界に風穴を空ける、道徳的でも優しいタッチでもない、今までにない作品を作ってほしい」という依頼を受け、「給食番長」を完成させました。

2007年出版の処女作。「子どもの頃に読んだ本を自分の子どもも読む。そんな、国民的シリーズにしたい」とよしながさん。今までにシリーズは5冊出ている

絵本じゃない、絵が汚いなどの批判もありましたが、子どもたちに人気が爆発。その当時、福岡で営業していた自身のカフェには親子連れが増え、「続編はまだ?」と聞かれるように。

「子どもたちは素直に面白いと喜んでくれる。元来負けず嫌いなので、子どもたちを喜ばそう、親の批判になんか負けるか!」と心に火がつき、一冊だけのつもりが絵本作家の道へ。10年が経ちました。

「一冊を仕上げるのに約半年。人生を削って描いているからこそ、どうやって笑わせるか、僕と子どもたちとの戦いです(笑)。純粋な子どもたちに影響を与えるものなので、重大な責任も感じています。

絵本は、一人のアーティストがフルプロデュースし、子どもたちが最初に触れる贅沢なアート作品でもある。だからこそ、実験的な試みも取り入れています。新しいジャンルを作り上げて、こんなものもあるよと子どもたちの振り幅を広げてあげたい。絵本からの卒業を遅らせる作品を作りたいと思っています」

今後の目標は、海外での出版。よしながさんの活躍から、これからも目が離せません。
10月28日に小学館から発売される新刊「ワオコッコ」。今までの作品とはひと味違う、神話的テイストの作品。発売詳細はHPで子どもの頃、お小遣いを貯めて買った本。「子どもの頃の感覚を忘れないために読み返します。想像力をかきたてられるし、ワクワクしますね」

よしながこうたく さん
福岡在住。イラストレーター、絵本作家。「給食番長」シリーズほか、今まで18冊の絵本を出版。全国各地で、小学生を対象にした絵本の読み聞かせライブも行っている。
http://www.edomacho.com/koutaku/

リビング福岡2016年9月10日号掲載