まち・地元 FUKUOKA PEOPLE

平澤(阿曇)憲子さん(志賀海神社の女性権禰宜)

今、福岡で注目の人にインタビュー。今回は志賀海神社の女性権禰宜

伝統の中で感じ続けていた疑問
役割を受け入れ、たどり着いた思い

 平澤(阿曇)憲子さん

◆“男性優先の家庭”から“男女差がない会社”へ

“海神の総本社”と呼ばれ、海上交通の神様として信仰を集めている「志賀海神社」。

まだ珍しい女性神職の平澤憲子さんは、祭祀のほか、志賀島の特産品(甘夏酒)を企画したり、昨年には志賀海神社でフラワーアーティストの展覧会を開催するなど、地域活性化活動にも積極的です。

古代から志賀海神社の宮司を務めてきた阿曇家。そのため、非常に厳しく「洗濯は男女別。お風呂は、男性が先」という男性優先の家庭だったそう。

“なぜ男性ばかりが優先されるのか”。そんな疑問を抱きながら大学で女性学などを学ぶうちに「男女差がない会社に入りたい」と思うようになり、卒業後は外資系コンピューター会社に就職。結婚後、2人目の出産を機に退職し、育児が落ち着くと、行政の男女共同参画の職に。そんな中、前宮司の兄が急逝。残った3姉妹の中で、跡継ぎとなる息子をもつ平澤さんが神職の資格を取得することになったのは、50歳を過ぎてからのことでした。

◆自分の役割と向き合って

男女差のない会社で働き、男女平等の社会を目指す活動に関わっていた平澤さんにとって、“古いしきたりを重んじる男性優先の世界”へと戻ることに抵抗はなかったのでしょうか。

「“役割”というものが人間にはあり、どんなに回り道をしても、そこに行き着くのだと思います。兄が亡くなった際に、私には、ここへ戻ってきて神社を守り、息子へ受け継ぐという役割があるのだと思いました」

平澤さんが次の活動として考えているのが、子どもたちの“考える・生きる力”を、志賀島の自然の中で育むスクール。

「自然と共存・共栄して生きていく力や、他人を思いやる気持ちを育てたいですね」

平澤さん考案の「龍頭みくじ」。置き物としても人気
平澤さんが企画した「金印 甘夏酒」
志賀海神社から見る景色。海や川、鳥のさえずり、木々の変化など毎日違う表情を見せてくれるそう。特に朝の景色がお気に入り

■志賀海神社
http://www.shikaumi-jinja.jp/

平澤(阿曇)憲子さん
志賀海神社・権禰宜。志賀海神社社家の阿曇家に生まれる。前宮司だった兄・阿曇磯和さんの急逝により、神職資格取得。平成24年10月に神職資格の正階を授与される。同年11月より志賀海神社奉職。
地域で男女共同参画講座の講師も務める。

リビング福岡2017年4月8日号掲載