落語で感じる季節の香り【如月】

こんにちは、福岡市在住のアマチュア落語家 粗忽家勘心(そこつやかんしん)です。
 
ずいぶんとずいぶんと間が空いてしまいました。
大変に、大変に申し訳ございません。
秋から冬にかけては、私自身の落語口演が多くていつもバタバタしていたのです。
さらに2月初めに大きな落語会を主催しまして、それでずっとアタフタしていたのです。
…という、まぁ言い訳なのです。
すみません、
心入れ替えて精進します。お許しを。
 
でも秋冬は落語の依頼が多いのはほんとです。
特にこの秋冬は多かった。
毎月15件ほどの会に呼んでいただきました。
落語ブームなのでしょうか?
 
東京では数年前に若手の落語ブームが「どっか~ん!」と来ましたね。
若者が寄席に押しかけるというかつて無い落語ブーム。
その頃 福岡では落語なんて超マイナーなエンターテインメントでした。
今でもそうかな。
 
先日私が主催した落語会は500人キャパのホールが満員御礼という、大変ありがたい結果でしたが、果たしてこれは福岡での落語ブームなのか???
 
違うでしょうね。単に今回お呼びした噺家さんが人気あるだけ。
落語全体のブームではありません。
 
その証拠に、この秋伺ったとある公民館、
「座布団は何枚用意すればよろしいでしょうか?」
…1枚でよろしゅうござんすよ。落語なんですから。
福岡では落語を知らない人がたくさんいる…だからブームではないのです。
 
落語はひとりで座布団に座ってひとりで何役分も喋って話が成立する。
他に絵も写真も背景もたいした小道具も使いません。
お客様の頭の中であれこれ想像していただく、これが落語。
「面白いことを喋るのが落語ではない」のです。
 

「夢金」

寒い寒い吹雪の中の隅田川を下る屋形船での話。
季節は一年で一番寒い、ちょうど今頃でしょうか?
ある船宿に「妹連れ」と称する武士が船を一艘頼みに来た。
こんな吹雪の晩に船を出すなんて、と断ると「酒代ははずむ」と…。
それならば!と強欲な船頭熊蔵が船を出した。
 
真冬の夜の隅田川、
降り積もった雪と、降り続ける雪と、夜の闇と…完全なモノクロの世界
川を下る屋形船だけが灯がともり、わずかに色がついて暖がある。
かじかむ手を必死で動かして船を漕ぐ船頭熊蔵。
 
ところが吹雪の中、船をいくら進めても一向に酒手をくれる気配がない。
催促気味に船を揺らすと、武士は一転、殺人を持ちかけてくる。
なんでも娘は妹などではなく、騙して連れているだけの実は大店の家出娘。
これを殺してくれたら娘の持つ大金を奪って熊蔵に駄賃として2両やる、と。
 
2両?? 殺しまでやってたったの2両???
冗談じゃねぇ、そんなはした金で殺しを……
いやいや、そもそも殺しなんていくら金を積まれたってやるもんか、なめんなよ!と大川の船頭が意地を見せる、
さぁさぁさぁさぁ熊蔵が武士をどうやってやっつける?
ざまぁみろサムライ、あっぱれ熊蔵!
そして娘を心配して探し回っていた大店の旦那から、大事な娘を助けてくれた御礼にと、大金を受け取って……
 
まぁ世の中こんなもんですな、
古今亭志ん朝師匠の「夢金」が絶品です。
寒さと恐怖と船頭の心意気を存分に堪能してください。
おあとがよろしい様で。
 
 

「親子酒」

大酒飲みの父と息子。
酒飲みといってもその日暮らしの長屋の住人ではありません。
ちゃんとした商家の大旦那と若旦那。
 
ある日、大旦那、親子でこんな酒飲みでは商売に差し支えてはいけない、と
「お前だけに禁酒を命じるのは理不尽だから、二人揃って酒を断とう」
まぁ、そんなに上手くはいきませんよね。
私らだって酒はやめられないのに、まして落語だもん。
 
息子の留守中にどうしても飲みたくなった大旦那。
女房に「一杯だけ」と頼みこんで久しぶりの酒を…。
まぁ、一杯だけで終わりませんよね。
私らだって「一杯」ではすまないのに、まして落語だもん。
 
女房に「もう一杯でお終いにするから」と頼みこんで…
まぁ、もう一杯でお終いにできるはずがないですよね。
私らだって「もう一杯でお終い」にできないのに、まして落語だもん。
 
したたかに酔ってしまった大旦那、さぁそこへ若旦那が帰ってきた!
大変だ、あいつに酔った姿は見せられない、
父親の威厳を見せなければ、
酒を片付け、お茶を飲んでいたフリを装う大旦那。
そこへ、
「た、た、たらいまかへりました~~~」
あれ?
若旦那酔っ払ってる??
 
「な、な、なんらおまへは~~、酒を飲んれきたのか~~、」
「お、お、お父っつあん~~、あらひは酒はやめられまひぇん~~~」


誰が演じても爆笑の「親子酒」。
笑いを取りすぎるのでプロの間では寄席ではやってはいけない噺、
やるのを遠慮しなければならない噺、
という暗黙のルールがあるんだそうです。
私も覚えよ!
 
という訳で、今回はここまで、また来月お会いしましょう。
 
粗忽家勘心でした。

落語会情報

○「第四回 柳家さん光独演会」内浜落語会主催
 ・2月23日(土)
 ・14時開演
 ・唐人町商店街 甘棠館笑劇場
 ・前売り2000円
 
○「第六回 黒猫屋落語会~粗忽家勘心ひとり会~」
 ・3月1日(金)
 ・20時開演
 ・黒猫屋珈琲店(中央区 警固交差点そば)
 ・ワンオーダー+投げ銭
 
粗忽家勘心
福岡市の唐人町を拠点に活動するアマチュア落語グループの内浜落語会に所属。真打ち。
  • ・福岡市 人権落語講師
  • ・福岡市 男女共同参画落語講師
  • ・太宰府市 まほろば市民大学講師
  • ・落語「ひなたの会」主宰
福岡市や、太宰府市・那珂川町・糸島市・大野城市など各地で、古典落語を口演し、人権落語・男女共同参画落語等の口演も多数
H29年より、太宰府市まほろば市民大学の「落語コース」講師。

ひなたの会
http://hinatanokai.petit.cc