落語で感じる季節の香り【卯月】

こんにちは、福岡市在住のアマチュア落語家 粗忽家勘心(そこつやかんしん)です。
 
平成がまもなく終わります。新しい「令和」がはじまるとはいえ、「平成」というひとつの時代が終わってしまうのは、なにか寂しいものですね。

外国から見たら単に延々と続く西暦の中の「何十年間」にすぎないのでしょうけれど、「昭和」「平成」と生きてきた者にとっては、なんとなく、「昭和は昭和らしさ」「平成は平成ならでは」の何かがあった様な気がします。
 
そんなこと言っても、昭和元年と昭和63年では全く世の中が違うのですが、それでも「昭和というひとつの時代」を思い起こすのに、元号というのは大きなシンボルになっている様に思いますね。
 
江戸時代の最後の元号は「慶応」だったんですね。
それが「明治」になり、江戸を東京と呼ぶ時代が始まりました。
「明治」は「天下はるい方向に向かってまる」ということからつけられたんだそうです。
徳川慶喜
徳川の時代、侍の支配が終わり、国が混乱している時に、希望を持とう!という気持ちが込められたのでしょうね、明治。明るく治まる。

でもそこは口の悪い江戸っ子たち、てやんでぇ!ってんで、「まるめぇ()」と逆から呼んで皮肉ったそうです(笑)。
江戸っ子は洒落が大好きな上に口が悪かった。
 
「江戸っ子は 皐月の鯉の吹流し 口先ばかり はらわたは無し」
口は悪いけど悪気は無いんだよ、という。
面白いです。

ちなみに「てやんでぇ」って江戸弁の語源わかります?
「何を言ってやんでぇ」なんですね。
江戸っ子は気が短いから言葉を省略したんです。
で、後ろ半分だけが残ったんですね。
だから本当は「ってやんでぇ」
小さい「っ」から言わなきゃいけない。
変なの(笑)。
 
でも江戸っ子の啖呵って面白いですよ。
 
「おととい来やがれ」
粋ですねぇ、よく考えたもんだ。
おととい来られるわけがないもん(笑)。
よく考えた、と書きましたが、こんなのは考えずにポン!と口から出た言葉なのでしょう。
ポン!と傑作が生まれたんでしょうね。
だからヒット作として永久に残った、
「おととい来やがれ!」
 
落語にはこんな粋でいなせな言葉がよく出てきます。
これをかっこよく言える様になりたいもんですね。
 
「あたぼうよ」
当たり前だ、バカ野郎。の意味。
ん???
本当は「あたりめぇだ、べらぼうめ」を詰めた。
べらぼうってのは、簡単に言うと「マヌケ野郎」です。
喧嘩の時の啖呵ですけどね、でもいい使い方もされますよ。
「あたぼうよ、おめぇが困ってんのに知らんふりできるかってんだ」みたいに。
困ってるのを助けるならもっと優しく言えばいいのにね(笑)。
それが江戸っ子、江戸弁の良さです。
 
喧嘩の啖呵ばっかりじゃないですよ、粋な江戸言葉は。
 
「肴 荒さねぇのが自慢なんだ」
お酒飲むのに肴をバクバク食べない、それが粋、とされていました。
「こちとら、塩なめたって五合(ごんご)は飲めるんだ」って。
 
大酒飲みだった古今亭志ん生が、これまた大酒飲みの息子志ん朝に言ったそうです。
「お前ねぇ、酒飲む時にそんなに食べるもんじゃないよ、みっともない。 そんなのはお百姓さんとか田舎の人の飲み方ですよ」って。
だから戦前まではそういう考え方が残ってたんでしょうね。
酒飲んで〆めにラーメン食べるわが身を反省します。
「宵越しの金は持たねぇ」
その日に稼いだ金はその日にパッと使ってしまう、という意味です。
おかみさんにしてみれば大迷惑ですが、ケチケチしない・金に執着しない、金に執着するのは「野暮」だ、これが江戸っ子。
粋の反対が野暮です。
野暮はいけません。
宵越しの金を持ってしまいそうな時は、どうぞ粗忽家勘心にお声をおかけ下さい。
中洲でもどこでもいつでもお伴いたします(笑)。
 
江戸言葉の中で、僕が一番好きなのは
「とーんとくる」
わかりますか?
わかって欲しい。
正解は、
「一目惚れをした瞬間」です。
「恋に落ちた瞬間の音」
現代なら、
きゅん!とする。
ズキューン!と打ち抜かれる。
ちょっと前に流行ったのは「ビビビ!とくる」
 
「あの人を見たときにあたしは とーんときちまってねぇ…」
 あの瞬間を江戸っ子は「とーんとくる」と表現した。
いいですねぇ、とーん。
目が合った瞬間に、とーん。
素敵な仕草に、とーん。
異性の意外なひと言に、とーん。
何かが心に落ちる音(?)を、とーん と言ったんですね。
趣がありますね。
女子高生に流行らせてほしい。
「隣のクラスの○○君にとーんときちゃった」
 
今日は落語の演目を紹介しませんでしたが、たまにはこんな雑談もいいでしょう。
 
粗忽家勘心でした。

落語会情報

「第十七回 ひなたの会~春風亭正太郎、柳亭市弥 二人会~」

・5月12日(日)
・14時開演
・あじびホール
・前売り2500円

アマチュア落語、内浜落語会総出演!
「内浜落語会 博多あじび寄席」

・5月6日(月・祝)
・13時30分開演
・あじびホール
・前売り800円
 ※ご予約はお電話でも承ります、090-7463-6256(粗忽家勘心)

粗忽家勘心
福岡市の唐人町を拠点に活動するアマチュア落語グループの内浜落語会に所属。真打ち。
  • ・福岡市 人権落語講師
  • ・福岡市 男女共同参画落語講師
  • ・太宰府市 まほろば市民大学講師
  • ・落語「ひなたの会」主宰
福岡市や、太宰府市・那珂川町・糸島市・大野城市など各地で、古典落語を口演し、人権落語・男女共同参画落語等の口演も多数
H29年より、太宰府市まほろば市民大学の「落語コース」講師。

ひなたの会
http://hinatanokai.petit.cc