くらし よのなかのしくみ

民事調停制度

日常生活のささやかな問題の解決に向き、訴訟より時間や金銭の負担が小さい「民事調停」。制度の概要や利用の仕方を聞きました。

ご近所トラブルや多重債務など、当事者同士の“ねじれ”を合意へ

◆簡易裁判所で行われる「民事訴訟」、「民事調停」の違いは

個人間の争いを解決する手段として、広く知られる民事訴訟(民事裁判)。これは法廷という公開の場で裁判官が互いの言い分を聴き、証拠を調べ、法律に照らして白・黒をはっきり決める方法。

民事調停も裁判所で個人間の争いを解決する手段ですが、非公開の場で納得するまで話し合い、実情に合った円満な解決を目指すのが特徴です。

◆話し合いの進め方は

まずは簡易裁判所の受付窓口にある用紙から申し込み。調停期日に当事者たちが呼ばれ、それぞれトラブルの実情を聴かれます。

話を聴くのは、裁判官1人と調停委員2人以上で構成される「調停委員会」のメンバー。話し合いもこの委員会を通して進められるため、トラブルの相手と顔を合わせないようにできます。

調停委員は民間から選ばれた有識者。弁護士もいます。特に建築・不動産・医療・交通事故など専門的知識が必要な争いでは、その分野に詳しい建築士や不動産鑑定士などの専門の調停委員が対応します。

話し合いの結果、お互いが合意に達すると、合意内容は調停調書に記載されます。調停調書は判決と同じ法的効力があるため、合意内容が守られない際は申し出により、強制執行の手続きをとることも可能です。

◆申し立て手続きはスピーディーで手軽

申し立てに特別な法律の知識は要らないため、手続きは自分1人で行うことも可能。話し合いの回数は一般的に1~3回程度で、訴訟よりスピーディーな解決を目指せます。

必要な費用も、通信費などに使われる切手代と印紙代のみ。例えば貸金20万円の返済を求める調停では、切手代は800円ほど、印紙代は1000円ほど。費用の面でも、訴訟より負担が少なくなっています。

相談できるトラブルの例

■金銭の貸し借り ■クレジット・ローン問題 ■売買の代金の支払い ■給料・報酬問題 ■敷金・補償金の返還 ■家賃・土地代の不払い ■建物、部屋の明け渡し ■土地・建物の登記 ■交通事故などの損害賠償 ■日照権、騒音、悪臭などのご近所トラブル
※家庭内のトラブル(離婚や相続など)については、家庭裁判所で「家事調停」として取り扱われます
◆今回の回答者
福岡民事調停協会
松木 秀士郎さん

福岡民事調停協会では、無料調停相談会も毎年数回開催。次回は2019年1月25日(金)10:00~15:00に、福岡市立中央市民センター(福岡市中央区赤坂2-5-8)で。問い合わせは同協会(TEL 092-781-3141/内線3892)へ。

リビング福岡2018年12月8日号掲載 ※情報は掲載時点のものです