まち 福岡風景/Fukuoka View

[福岡風景/Fukuoka View] #083 福岡桜景2018/Cherry Blossoms in Fukuoka City【13】

「花あわれ せめてはあと二旬(にじゅん) ついの開花をゆるし給え」。昭和59年春、福岡市南区桧原の地に立つ樹齢50年のソメイヨシノに掛けられた一枚の色紙。道路拡幅工事による伐採の時を今まさに迎えようとするなか、住民から寄せられた「せめてあと二旬(二十日間)の猶予を。そして最後となる満開の桜花を見届けさせてほしい」という願いは、メディアを通して多くの人々の耳目に触れるところとなり、あまたの短歌が桜の木に下げられました。その中の一首「桜花(はな)惜しむ 大和心(やまとごころ)の  うるわしや とわに匂(にお)わん 花の心は」。そこには「香瑞麻(かずま)」という雅号が添えられていました。後にそれが、時の福岡市長・進藤一馬氏からの返歌であることが知れ、やがて伐採される予定だった8本の桜はその命を永らえることとなります。今でも春になるとこの地には華麗な桜風景が広がり、この「桧原桜」のエピソードとともに、この地を訪れる人たちを魅了し続けています。
西山健太郎
1978年福岡市生まれ。2017年2月、樋口一幸氏(Bar Higuchi店主、ウイスキートーク福岡・実行委員長)とともに非営利団体『福博ツナグ文藝社』を設立。独自の切り口で福岡の飲食文化・芸術文化に関する情報発信を行うかたわら、“福岡の美しい日常風景” をテーマにした写真集【福岡風景/Fukuoka View】をインスタグラムで公開している。
https://www.instagram.com/_fukuoka_writer_/